ビジネスマンは35歳で一度死ぬ

ビジネスマンは35歳で一度死ぬ

ベンチャー社長が実際に何をしたのか

「これからのビジネスマンは、自分で生きていける力を身につけなければ生き残れない。」

安泰なキャリアというものがなくなって久しい昨今、この種の問題意識はもう当たり前になった。ただ、こういう「べき論」は批評家気分になりこそすれ、行動へのモチベーションにつながりにくい。「べき論」を聞く度に、「分かるんだけど・・・」と思ったことのある人は多いのではないだろうか。

正直なところ、本書『ビジネスマンは35歳で一度死ぬ』の読みはじめは、僕もそう思った。しかし、読み進めると本書には「べき論」でなく、著者が実際に何をしてきたかが語られており、ビジネスパーソンとして先を行く先輩の言葉として、腹落ちするところが多かった。

著者は、26歳で起業し、オプトをデジタルマーケティング企業の代表格に育てた鉢嶺登CEO。3年で起業すると言ったものの、直前で悩んだ当時の素直な心情なども率直に書かれており、ベンチャーマインドを持って生きようとする人にとって、ささる言葉は多いはずだ。

あなたが現在享受している「安定」や「順調さ」は、これから先も続いていくという保証はありません。今の安泰に浸かりきっていれば、いざというときに何もできない人間になってしまいます。どんな時代になっても、どんな社会環境になっても、「自分で獲物を獲れる」稼ぐ力が必要不可欠。本書では、そのために大切な7つの力をご紹介します。

 

7つのサバイバル力

著者が教える7つの力について、僕なりに消化して一言にまとめるとこんな感じになる。この中で、特に印象に残った「ゴールをつくる力」について取り上げて、詳しく紹介したい。

①ゴールをつくる力
②リーダーの力
③伝える力
④読書の力
⑤失敗の力
⑥貢献の力
⑦肉食の力
大きく高い目標と、緻密で具体的な目標の両輪を持とう
マネジメントは稼ぐ技術と心得て、自ら飛び込もう
知ったことを自分の言葉で語るクセを身につけよう
今の仕事(フロー)が忙しい時ほど自己投資(ストック)を
「やってみて、失敗した」のPDCAを回さないと学べない
他人に頼らず、自分で判断するための基準(大義)を見つけよう
劣等感を感じるくらいの場に身を置いて、貪欲を習慣化しよう

 

現状を打破するためのゴール

本書が「ビジネスマンは35歳で一度死ぬ」と刺激的なタイトルになっているのは、著者がヘッドハンティング会社から「35歳が転職市場の定年」だと聞いたところからきている。30歳になった僕も、実はこの35歳定年説を常に頭において、キャリアの置きどころを考えている。

35歳というのは微妙な年齢で、しっかり頑張っていればそれなりの地位を得られ、収入も悪くない。そうなると、チャレンジするインセンティブは減り、今の会社でうまく生きる術が身についていく。その一方で、一人で仕事を獲り、回していくサバイバルの力はどんどんと衰えていくのである。

今や東証一部に上場する「大企業」のオプトにも、そんな後ろ向きな雰囲気があった時期があるという。だからこそ著者は、オプトが常にベンチャーマインドを忘れないよう、ビジョンを打ち出し続けている。

一人一人が社長。
オプト発企業の時価総額合計が100兆円、雇用者数100万人、
売上1兆円、経常利益1,000億円、100社のベンチャー、1人100回の失敗

 

ウォーム・ハート、クール・マインド

売上600億円台のオプトが掲げる目標としては、あまりに大きすぎると思われるかもしれない。しかし、目標は大きすぎていい。大事なのは、そこに到達するために逆算できるくらい具体的なこと。ゴールをつくる力は、「ウォーム・ハート、クール・マインド」に宿るのである。

これを簡単に実践する方法として、高校野球を舞台にしたひぐちアサの漫画「おおきく振りかぶって」で紹介されている目標設定シートが参考になる。最初は難しいのだが、16の目標を上から順に10分で書き込んでいくことで、自然と目標思考をトレーニングでき、モチベーションが高まるので試してほしい。

  • 夢のような目標
  • 最低限度の目標
  • 50年後の目標
  • 30年後の目標
  • 10年後の目標
  • 5年後の目標
  • 4年後の目標
  • 3年後の目標
  • 2年後の目標
  • 1年後の目標
  • 今年の目標
  • 半年後の目標
  • 今月の目標
  • 今週の目標
  • 今日の目標
  • 今の目標

 

オプトでは、先に紹介した目標を実践するため、「大企業」を「ベンチャーの集まり」に分解し、経営者や管理職を立候補制にして、どんどんと若手を抜擢している。

さらに、2015年4月にはホールディングス化し、新しいベンチャーを生む投資を積極化している。安定した財務体質に安住してしまうことを恐れるかのように潤沢なキャッシュを将来の可能性につぎ込むその姿勢に、この企業のベンチャーマインドを強く感じる。

今後の新しいオプトの姿に期待している。



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