Five Future Strategy You Need Right Now

Five Future Strategies You Need Right Now (Memo to the Ceo)

メガトレンドを抽出する

戦略の方法論には、「ポジショニング・スクール」と「リソース・ベースド・ビュー」の2つがある。

本書は、前者の「ポジショニング・スクール」、つまり、マクロ的なメガトレンドを正確に捉え、

戦略の方向性はどうあるべきかを示す手法をベースにした戦略論だ。

本書では、近時のメガトレンドとして5つの潮流が指し示されており、

経営における重要なエッセンスとして学びになるのに加え、メガトレンドから変革の方向性を

抽出する戦略コンサルティングのスタイルを学ぶ上でも参考になる。

一方で、本書のMEMO TO THE CEOシリーズは、コンパクトにエッセンスをまとめたもののため、

具体的な戦略モデルに踏み込んだ内容を期待すると物足りない。

 

メガトレンドに対応した5つの戦略

本書では5つのコンセプトが紹介されているが、その中から3つを簡単に紹介しよう。

 

Supply Chain Gymnastics

製造業の製造機能アウトソーシングは、グローバルスケールで既に浸透している。

アウトソーシングが進むと、輸送キャパシティがボトルネックとなる(the China riptide)、

受発注コントロールが利かない、コストを全体像として把握しにくくなるなどの、

部分最適の弊害的課題が発生することが共通して見られる。

そうなると、通常は本社が司令塔になり、ソーシング先や各サプライチェーンに

効率的に指示を出す“Push”の方法論が検討されがちだが、

とはいえ、司令塔でコントロールできる精度にはどうしても限界がある。

そこで著者は、“Pull”、つまりソーシング先やサプライチェーン側から情報をInflowさせ、

自律プロセスを構築する考え方を提案している。

 

Dynamic Pricing

コピー機とメンテナンスのBind Sales等、プライシングでいかに購入のハードルを下げるかという

戦術自体は目新しいものではないが、プライシング戦術の肝は単にお金の取り方を変えるだけでなく、

いかに構造的、かつ持続的な儲けにつながる「仕組み」を作るか、というところに本書のメッセージがある。

例えば、コピー機であれば他社に先駆けてメンテナンスの拠点網を作ることがKFSであり、

拠点を増やすほどネットワーク経済が働くために、先行して拠点網を確立した者が圧倒的に有利となる。

フリーミアムが流行って、その後、結局しっかりマネタイズできたプレーヤーはごく少数だったように、

スイッチング構造やバリューポジション、Life Time Value分析等を、複合的に検討する

難しさがあることを念頭に置いておく必要がある。

 

Embracing Complexity

Complexityとは情報化により消費の選択肢が増えることを指す。

供給側は、Complexityが高まると等比級数的なコスト増を招くため、基本はシンプル化を目指す。

しかし、需要側から見たときに、果たしてそれは正しいチョイスだろうか。

重要な点は、選択肢の増加が顧客の“不安”につながるのか、“楽しみ”につながるのか。

“楽しみ”になっているなら、どのようなシンプル化なら楽しみを阻害せずに済むかを見極めることだ。

例えば、Appleのスティーブ・ジョブズが商品を大胆に4つに絞った有名なエピソードは、

増えすぎた商品による一貫性のなさが与える“不安”を取り除き、しかも、4つに絞ったことで、

それぞれの商品の機能が強化され、コアファンにとってはかえって“楽しみ”につながった好例だ。

 

トレンドを定点観測する仕組み作り

環境変化のスピードが速い現代においては、このような変化にFaint Signalの段階で気づき、

戦略のインプットとして捉え直せるか否かが企業の将来を大きく左右する。

しかし、これまでのやり方や手持ちのリソースを前提に発想する癖は、誰でも持っているものだ。

当然、事業は日々の改善・修正の積み重ねであるから、“平時”においては理にかなっている。

しかし、厳しい言い方だが、経営計画の未達を「想定以上の外部環境の変化」に理由づける

昨今の傾向は、マネジメントの責任放棄以外の何物でもないと感じている。

経営判断が求められるスピードが著しく加速している昨今においては、

むしろ常に“有事”の意識を持ち、トレンドを定点観測的にウォッチする仕組みをつくることが、

経営イシューとして重要なのではないか。




“Five Future Strategy You Need Right Now” への1件のコメント

  1. nymuse1984 より:

    著者BCGによる本の一部の紹介ブログ。https://www.bcgperspectives.com/content/articles/strategy_operations_five_future_strategies_book_excerpt/

この本についてひとこと