グローバル・ビジネス英語教本

グローバルビジネス英語教本―Global business communica

文法はできるのに英文がぎこちない人へ

いくらTOEICで900点超を取っても、プレゼンテーションのスライド1枚すら仕上げることができない。単語をしっかり調べ、文法も入念にチェックしても、帰国子女の同僚に表現をばんばん直される。直された文を見ると「確かにこういう表現は分かりやすいな」とは思うものの、自分が書いた文章ではなぜダメなのか、どうやったら彼らのような表現を思いつくのか、そんな風にずっとモヤモヤしていた。

そんな僕と同じ悩みを抱える方に、本書を是非おすすめしたい。本書は、いわゆる英作文の教科書とは違う。ネイティブだけが感覚で知っていた、英文の自然さを構成しているポイントを明文化し、日本人のクセを踏まると何を矯正すれば“伝わる英語”になるのかにフォーカスしている。

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English designed by Marie-Noëlle from the Noun Project

英語の良し悪しは、日本語の良し悪しと同じ問題

僕は実際に、テクニカルライティングの第一人者である著者、篠田義明の講座に参加してきた。彼は、80歳を超えた今も、実用文章に求められるトーンやスタイル、マナー、意味の明確さなど、相手に“伝える”ための配慮に意識を向けるよう、声を大にして呼びかけていたのが印象的だ。

文章を書く目的を明確にし、読み手に合わせて、言葉として分かりやすく客体的に文章を書くという英語でも日本語でも普遍的に通じること。日本人が弱いそこから鍛え直すことに、英文を書くカギがある。例えばこの文は、文法的には間違っていないが、表現としては磨きたりないし(一語一義の原則)、

Mr. Suzuki is a nice supervisor.
→niceが曖昧。considerate、well-liked、well-respectedなど具体的に伝えるべき。

こちらの文は、内容は正確でも、相手に伝えるべきメッセージになっていない(打消しよりも肯定で)。

You claim that we did not enclose all the parts you requested.
→So what?We regret any delays in your production caused by~の方が伝えて意味がある。

その他にも、語調の調整方法、Softenerの使い方、不要な関係代名詞の避け方、助動詞の違いなど、日本人が見落としがちなポイントが押さえられていて、読んでいて気づかされることばかりだ。

 

良い英文を書くためのプロトコルを頭に植えつける

上記の実践編として、後半にはビジネスレターの種類ごとに、サンプルと練習問題が豊富に用意してある。取引申込み、オファー、注文、支払い、クレーム、お礼状、E-mailなどが取り上げられており、普段出会うビジネスレターは、それなりに一通りカバーされているといえるだろう。それぞれのビジネスレターで必須の要素と任意の要素、体裁や略語等のルール、さらには宛名の書き方からレターヘッドのスタンダードなデザイン、好ましい紙の質や色まで、コミュニケーションとして配慮すべきところにはとことんこだわった内容になっているのが実用的。

練習問題に答えがついていないのが、場合によって不便なこともあったが(ヒントはしっかり書いてある)、約150ページというハンディな中にエッセンスがぎゅと詰め込まれた、重宝する1冊であることは間違いない。



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