武器としての決断思考

武器としての決断思考 (星海社新書)

ようやく決断思考が本格的に注目された

本書をはじめとする、決断思考を鍛える方法を説いた著者の本が今、爆発的に売れているという。

僕は、そうしたブームを知り、本書を紐解く中で「ようやくここまで・・・」という強い感慨を覚えた。

日本において決断思考はこれまで、ハイレベルな教育システムを通ってきた一部のエリート層や、

先輩役職者の立ち振る舞いを学んできたハイクラスのビジネスマンに限られた能力であった感がある。

逆に言えば、そうであってもその他の日本人は困ることが少なかった。

自分の判断を突き詰めて問われる瞬間が稀だったのだから。

どうすればほどほどに成功できるかという問いに対して、世の中一般として絶対的に「正しい」答えが

形成されているゲームに、自分の判断を持ち込むことなど必要なかったのである。

 

“Me-Too Strategy”を止めよう

しかし、そんな日本人も自分が今置かれているゲームでは、

これまでの分かりやすい人生の答えが通用しなくなっていることを敏感に嗅ぎとっている。

大手企業でも一生雇ってもらえるか分からない。

公務員ですら減俸・リストラを今後も避け続けるのは難しい。

ただし、危機を嗅ぎとった結果としてのアクションは当初、本質から脇道にそれた形で現れた。

別の絶対的な答えを探そうとしたのだ。

曰く、資格を持つ、副収入を見つける、”市販”のコンサルティング・スキルを覚える・・・等々。

果たして彼らの不安は解決されたのだろうか。

そもそも、僕らが直面している問題は、そんな短絡的な答えを要請していたか。

僕らが直面しているのは、“絶対的に正しい”答えがないという問題である。

だとすれば、僕らが選ぶべき戦略は、”相対的に正しい”と判断する力をつけることではないか。

いくつもの選択肢を比較衡量して、その場その場で最善解を選び取っていくスキル。

ここにきて、この王道についてがっぷり四つに語った書籍が、広く求められるようになってきたのだ。

 

ディベートから決断思考を学ぼう

著者は、京都大学の客員准教授でエンジェル投資家、全日本ディベート連盟の代表理事も務める。

本書では、彼の思考の軸となっているディベートの基礎ルールが懇切丁寧に説明されており、

ディベートの基本思想である”相対的な正しさ”を追究する考え方を理解するのにもってこいである。

さらに、本書内ではいくつもの「お題」が用意されていて、

読みながら実践的に思考トレーニングを積むことができるよう設計されている。

正しさを左右する要素とは何か?

正しそうな選択肢の中から、どうやってより正しいものを見分けるのか?

あなたがもし、これらに自信をもって答えられないなら、本書を紐解く価値は十分にあるはずだ。

ディベートの基本思想を説いた優れた1冊として、僕が1番に挙げたいのは

『高校生のための論理思考トレーニング』だが、よりプラクティカルに、どのように物事を

証明(反証)するかに踏み込んでいるところが本書の魅力である。

また、ハイレベルな内容を平易な言葉で巧みに語っている点も、リーダー・フレンドリーだ。



この本についてひとこと