Perspectives on Strategy

Perspectives on Strategy

本書は、The Boston Consulting Groupの発行する“Perspectives”に掲載された論文を収録した論文集だ。

BCGの”Perspectives”は、”McKinsey Quarterly”と並ぶ、代表的な情報発信プラットフォームで、

どちらもネットで見られることができ、新しい着想のヒントを得ることができる。

しかし、その中でも古い論文集を集めた本書を手に取ったのにはもちろん、理由がある。

というのは、経営コンサルティングが高度に機能分化する流れを受け、”Perspectives”や”Quarterly”のテーマも

局所化している中で、足腰を鍛えるにはトラディショナルな戦略論に立ち返る必要があると感じたからである。

本書に収録されている、BCGのFounderであるBruce D. Hendersonの論文は今読んでも参考になるし、

教科書で学んだだけのExperience CurveやProduct Portfolio Management等のコアコンセプトを、

発案者自らの論文で、改めて原理・原則から学ぶというのは重要な経験になると思う。

また、急激に変化する当時のビジネス環境に対して、どのように問題を捉え、コンセプトに落とし込んだのかを

追体験するケーススタディにもなる。

 

Hendersonは戦略を、競争を“Natural Competition”と“Strategic Competition”に分けることからはじめる。

“Natural Competition”とは、既存の競争ダイナミクス中でオペレーションを差別化する競争のあり方である。

キーワードは“Evolution”。漸進的・恒常的な改革の積み重ねによって、競合に対して競争優位を獲得する。

一方で、“Strategic Competition”は、そもそもの競争ダイナミクスを意図的に転換させる競争のあり方である。

キーワードは“Revolution”。ポジショニングやビジネスモデルの視点で、業界のルールを変えてしまうことを目指す。

いずれのCompetitionも重要であることに変わりはないが、“日常”を超えた新たな発想として

“Strategic Competition”の重要性が認知されてきたというのが、戦略論及び戦略コンサルティングの歴史である。

Hendersonは、この“Strategic Competition”のキーファクターを、戦略を語る上で普遍的な5つにまとめている。

 

 

後半は、これら5つのキーファクターに基づいて、代表的な戦略コンセプトの解説に展開していく。

具体的には、ポートフォリオ戦略、専門化/多角化の戦略、バリューチェーン戦略などが取り上げられている。

当然ながら現代戦略論は、狭義の戦略論からはみ出し始めており、いわゆるオーソドックスな戦略論では

対応しきれない、もしくは既に時代遅れになってしまっているフレームワークもあるかもしれない。

例えば、ブランド戦略コミュニティ戦略のような分野や、組織デザイン論・リーダーシップ論のような

エグゼキューションを念頭においた分野が、戦略を機能させる要素として加わってきている。

その意味で、本書はビジネス書としては“古典”の域は出ないかもしれないが、

戦略を練る際の発想の根本は常に“Strategic Competition”の5つのファクターであることに変わりなく、

手先の解決策に縮こまらない、視野の大きい戦略を構築する上で、本書は見直されるべきだと思う。



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