ピーターの法則 創造的無能のすすめ

ピーターの法則 創造的無能のすすめ

Originally posted in English.

「ピーターの法則」とは、全ての組織に当てはまる、ある普遍的な法則のことを指す。

ピーター博士が主張するその法則は、非常にシンプルだ。

In a hierarchy, every employee tends to rise to his own level of incompetence.
(階級型組織においては、どんな労働者も彼自身が無能になるレベルまで昇進する。)

つまり、階級型組織において出世をしていくと、最後には必ずその人の限界より高い能力が求められる

ポジションにつくことになる(=無能になってしまう)ことが運命づけられているというわけだ。

著者はこの構造を踏まえ、組織は成熟すればするほど、無能な構成員が増えていくと結論付けている。

 

この結論を、あなたの会社、あるいはすべての組織について当てはめて考えてほしい。

ある人物をあなたの会社が雇うとしよう。すると、彼は割り振られた役割をこなし、昇進しようと努力する。

そして、彼の上司は彼の働きを評価し、成果を出していることを認めて昇進させる。しかし・・・

出世するために求められるスキルは、次の地位において仕事をこなすためのスキルとは異なるものだ。

スタッフとして優秀なことと、マネージャーとして優秀なことの大きな隔たりが分かりやすい例だ。

したがって、上司が彼の現状の仕事ぶりをいかに評価しようとも、昇進と結びつけるのは

必ずしも正しい判断ではないのである。

 

ピーター博士は、こうした構造はどうしても避けがたいものと考えているため、この問題に対する博士の

解決策は、どうしてもネガティブなものが多い(唯一ポジティブな解決策は外からマネージャーを雇うこと)。

例えば、マネージャーの仕事に無理に完璧さを求めるのではなく、彼のできる範囲の仕事に

コントロールして割り振ることで、そもそも“できないものをやらせない”対応をすすめている。

しかし、僕はより積極的なソリューションが、少なくとも3つはあるのではないかと考えている。

 

1つ目のソリューションは、昇進をさせる判断基準を、今の仕事を上手くこなせたかではなく、

次の地位の仕事をこなせそうかにシフトすることである。

当たり前のことかもしれないが、なかなか実践されている例は少ないように思う。

僕の属するコンサルティング業界では、昇進したいと思えば、次のランクで求められる能力を

既に持っていることをとことんアピールしなければ昇進できない文化ができている。

また、いわゆる“アップ・オア・アウト”(一定期間に昇進できなければクビ)の文化も、

このやり方を下支えするひとつの仕組みになっているとも言えるだろう。

 

2つ目のソリューションは、昇格と同様に降格を行い、再チャレンジを促すことである。

このソリューションを機能させるには、失敗を恐れずチャレンジする者が報われる文化を作るのが必須だ。

官僚的な企業では、失敗を許さず、一度降格などしてしまえば一生窓際的な暗黙の了解があるものだ。

だから、もしあなたの会社が“失敗恐怖症”の文化を持っている場合は、まずはじめにその文化を

率先して変えていくことが第1歩として求められる。

 

最後のソリューションは、複数のキャリアパスを設けることである。

最近では、日本の企業でも社員にいくつかのキャリアの選択肢を与える企業が増え始めている。

例えば、組織をマネージする管理職としてのキャリアと、特定の領域で専門性を突き詰める

専門職としてのキャリアを分けることで、その人の能力を有効に活用する道が開ける可能性がある。

もちろん、この3つ以外にもソリューションはあるかもしれない。

あなたなら、ピーターの法則にどう立ち向かうだろうか。

この本の中では、様々な組織の課題について具体例が豊富に示されており、非常に読みやすい。

あなたも、自分の組織が成長を止めないためにどうしたらいいのか、考えながら読んでみてほしい。



この本についてひとこと