会社法入門

会社法入門 (岩波新書)

会社法、入門の入門

会社法を理解する上で、まず概観を押さえるのに適した参考書。新書なので、もちろん会社法のごく一部の解説に留まるものだが、全体像がコンパクトにまとまったこの本は、これから会社法に挑むあなたの学習効率を高めるのに役立つはずだ。

目次を見ても分かるように、本書は一般的な参考書のように会社法の章立てに沿って構成されていない。著者である神田秀樹東京大学教授は、はじめに今般の商法改正の背景にある会社法の役割の変化や、ビジネス・金融のグローバル化について紐解き、その上で会社法において特に重要な概念である機関設計や資金調達、組織再編の役割と仕組みを解説していくことで、会社法においても特に複雑なポイントについて、初学者がその仕組みの本質を理解しやすい工夫が施されている。

 

『会社法入門』
目次

 

会社法を理解するための3つのトレンド

さわりだけ紹介すると、会社法を理解するポイントとして、これまでの3つの制度的トレンドがある。戦後の商法改正の特徴は、会社法を「ファイナンス」「ガバナンス」「リオーガニゼーション」という3つの分野に分けて整理するとわかりやすい。

これらは、直接金融手法の多様化やM&Aの活発化を促進し、自由な株式取引を浸透させる一方で、多数かつ複雑なステイクホルダーの利害関係を調整する仕組みを充実させるという、“健全な規制緩和”を大きなコンセプトにしたトレンドと言えるだろう。このトレンドが頭にあると、会社体の整備(株式会社/持分会社)や、ガバナンス制度の選択肢充実(取締役/執行役、委員会(監査委員会、報酬委員会、指名委員会)、開示制度の充実(ウェブ開示等)など、会社法における改正のポイントの意図と目的を納得して理解することができる。

 

会社法における新制度メモ

新制度として取り上げられているもののうち、個人的には特に次の3つに注目している。

“オプション”とは、規定期間内にある商品を規定価格で買い付ける、もしくは売り付ける権利のことだ。通常、ストックオプションは、予め決められた価格で自社株を買う権利(コールオプション)を得た人(主にベンチャー企業の取締役等)が、自社株の価値が上がった時にそのオプションを売る(プットオプション)ことで、利益を得る仕組みとなっている。

対価の柔軟化とは、吸収合併・吸収分割・株式交換の場合において、消滅会社等の株主等に対して、存続会社等の株式ではなく、金銭その他の財産を交付することを指す。外資系企業によるOut-In型買収などを促進する観点で、有用な仕組みである。

全部取得条項付株式とは、株主総会の特別決議をもって会社が全部を取得できる種類株式である。つまり、この制度によって100%子会社化が容易になり、限られた限られた株主がコントロール権をもって企業価値を高める動きなどを促進できるものと想定される。



この本についてひとこと