マッキンゼー流 図解の技術

マッキンゼー流図解の技術 Say It With Charts: The Executive’s Guide to Visual Communication

コンサルタントにとって“紙”とは

著者が所属するマッキンゼー・アンド・カンパニーを含め、いわゆる戦略系コンサルティング・ファームでは、

コンサルタントは、紙に絵や図を描くことに日夜心血を注いでいるといっても過言ではない。

僕もその末席にいる者として、何年やっても常に難しさを感じながら取り組んでいる。

コンサルタントは、なぜこのように“紙作り”に多大な労力を費やすのだろうか。

それは、考えに考え抜いた戦略とその実行プランを、多忙なクライアントの経営層が直解的に理解でき、

腹落ちし、実行に移してはじめて、ようやくコンサルタントの存在意義があるからである。

場合によっては、報告したクライアント幹部が、その報告資料に基づいて社内稟議を通すわけで、

そうなると、紙が自分の手を離れても、誰が見ても誤解のないように細心の注意を払う必要も出てくる。

たかが紙と侮ってはいけない。コンサルタントの成果物には、そうした様々な思いが込められているのだ。

 

限られたスペースでイイタイコトを語るには

紙といっても、実際にはPower Pointを使用して作成することが多い。

使ったことがある方ならお分かりだと思うが、1枚のシートの大きさは本当に限られたものである。

その中に、メッセージとその根拠や詳細をコンパクトにまとめていくわけだ。

もちろん、全体の統一感や相手の読みやすさに拘るからには、文字を小さくするなどもっての外だ。

そうすると、自ずから余分なものをそぎ落として、メッセージを的確に伝える絵や図を使用せざるを得ない。

本書では、コンサルタントである著者が、このような腐心を分かりやすいスキルに落とし込んでいる。

具体的には、グラフ、マトリクス、フローチャート、バリューチェーンなどの性質を丁寧に解説した上で、

どういったメッセージの場合に、どのチャートを選ぶのが適切なのかを明確に語っていく。

チャートをこと細かく分類していくので、多少冗長に感じないでもないが、“紙”を作る上では

一度は通らねばならない道だ。

 

まずは必ずメッセージ

チャートごとの特徴や効果的な使用法については、本書を実際に手にとって確認してもらいたいが、

著者が強調する2つのポイントを押さえれば、見違えるようにいい紙が作れるようになるはずだ。

  1. メッセージを決める
  2. 比較方法を考える

1つめは、小手先のことは置いておいて、「何を伝える必要があるかを先に決めろ」ということだ。

何となく見栄えのいい絵や図を使いたくなって後付けでメッセージを作ってみたり、メッセージもなく、

単に見た目がアーティスティックな紙ができても、その価値は明確に“0”だ。

上場企業のIR資料を見ていても、残念ながら立派に見えてメッセージが何もないものも多い。

正直なところ、Power Pointには色々な機能があり、使ってみたくなる気持ちはよく分かるので、

防止策としては、はじめはパソコンを使わず、プリントミスした紙の裏にラフスケッチを書くのがいい。

メッセージライン、ストーリーラインとして、何を書くべきか。手書きだと、順を追って考えやすい。

 

メッセージを際立たせる比較法

メッセージが決まったら、次はボディでメッセージをどう際立たせるかに焦点が移る。

そのポイントが2つめの“比較方法を考える”だ。

その心は、“メッセージは強調したいものとそうでないものの対比において明確になる”ということにある。

例えば、ある会社の経営効率が突出していることを示すには、そうでない競合との比較が効果的だ。

著者は、比較方法の類型として5つの方法を提示している。

重要なことは、ボディに書くべきことはメッセージと5つの比較法との関係において決まるということだ。

インスピレーションなど必要ない。5つの比較法の特徴にしたがって、適切なものを選べばいい。

もちろん、メッセージのブラッシュアップや、紙と紙のつながりなど、より高度なテクニックもあるのだが、

本書を読んでこの2つのポイントを押さえれば、あなたのスキルは社内でも相当上位にになっているはずだ。



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