スマイルズの世界的名著 自助論

スマイルズの世界的名著 自助論 知的生きかた文庫 Self Help

つまずいたときにこそ読む本

自助、つまり「天は自らを助くる者を助く」とは、自分を律し、自分で自分の運命を切り開くことを意味する。サミュエル・スマイルズの『自助論』は、自らが出会い、見聞きした数々の自助の人を取り上げ、僕たちに、自助の精神こそが生きることの本質的な価値を高めることを説いている。その熱心で、強い信念に支えられた筆致によって、本書は1857年の出版以来、世界中で読まれてきた。日本でも明治時代には『西国立志編』の名で、当時の若者の心の指針として親しまれてきたことでも有名だ。

この手の自己啓発的、格言的な本は、ある種正論すぎて口うるさく思えるかもしれない。ところが、読み返す度に、その時々の自分が弱いところを手厳しく諌めてくれている箇所が必ずどこかにある。僕も、今回再読したことで、今の自分にとって何を改めるべきなのか、改めてビシビシ指摘され、元気が出た。あなたにも、何かにつまづいた時にこそ、そうした警句と出会うために本書を手にとってもらいたいと思う。

 

人格の価値に気づくことの大切さ

自助論が説くキーワードには、勤勉、忍耐、節制、信念などの意志の力と、それを体現する行動力がある。僕らは普段、ステータスの見栄え、家柄、資産の大きさなどを羨望の対象としがちだが、自助論は人間の価値には、それ以上に目を向けるべきモノサシがあることを教えてくれる。それが先にあげたキーワード、一言で表すと“人格”という価値である。

確かに、ステータスや家柄、裕福さに、僕らが生きる喜びを感じるというのも、ひとつの真理ではある。しかし、これらはあくまで体面的な、他人に「いいなぁ」と思われる程度の価値しか持ち得ない。過去を振り返れば、人から信頼され、支えられ、心を動かす力は、人格に宿っていることを感じるはずだ。もちろん、人格など一朝一夕に磨かれるものではないが、折に触れてその重みに目を向けることが大切。著者が徹底的に集めた数々の歴史的人物のエピソードは、僕らに人格と向き合う勇気を与えてくれる。

 

いわゆる”品格”論ではなく

もとを辿れば本書は、最盛期にあった当事のイギリスの繁栄を支えた国民の精神を描き出そうとしたものだ。社会をより良くするものは、国家という「外からの支配」ではなく自助という「内からの支配」である。一人ひとりの精神が国家を作り、歴史を作り、次の世代に受け継がれることを、著者は強く意識していた。

こう言うと、一時期流行った”品格”論的な説教くささを感じるかもしれないが、決してそれだけで終わらない。世の中の品格の低下を嘆いてグチるのではなく、あくまで読者の向上心の火種に丁寧に語りかけ、あなたも自助の習慣によって、大人として、リーダーとして、親として、いつか大成できると著者は疑わない。そうしてまた、あなたが次なる世代を感化し、長い時間をかけて変化が現れることを徹底して信じている。だからこそ、僕は説教くさくても耳を傾けようという気に強くさせられるのだと思う。



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