世界一シンプルな「戦略」の本

世界一シンプルな戦略の本

“戦略症候群”にならないために

本書を紹介する前に、皆さんに2つの質問について考えてもらいたい。

いかがだろうか。

少しでも思い当たるところがあれば“戦略症候群”の兆候がある。

 

戦略とは何か

本書は、戦略の立案プロセスではなく、戦略そのものの定義や構成要素に的を絞った面白い本で、

一通り読めば、あなたが“戦略”を本当に理解していたかが分かるリトマス試験紙になる。

著者は、広告代理店で機能戦略(マーケティング戦略等)を手がけており、

非常にシンプルに誰でもわかるレベルに噛み砕いて戦略とは何かが説明されている。

『プロフェッショナル・プレゼン』(小沢正光)等、広告マンの書いたビジネス書は面白い。)

ただし、戦略を売り物としている同業としては、“戦略目標”(後述)の意味合いについて

深堀りが物足りなかった。

 

戦略を構成する要素:「戦略的」

著者は戦略を、「戦略的」であることと「論理的」であることの2点に分解して論じている。

「戦略的」とは、「目的」+「手段」で表現できる。

例えば企業戦略なら、成熟市場からの脱却は「目的」で、売上の3割を新規事業とすることが「手段」。

事業戦略なら、企業戦略の「手段」(売上3割を新規事業)が「目的」で、事業部のCOO直轄化が「手段」。

これを繰り返していけば、グループ単位、プロダクト単位、個人単位まで、

「目的」と「手段」のつながりがブレイクダウンしてつながっていくのがイメージできる(=戦略の階層性)。

このつながりに目を向けることが、戦略の一貫性を保つ上で重要なわけだ。

 

補足:戦略のそもそもを支える「戦略目標」

ここまで考えたときに、階層構造になっていることは分かったし、最初の「目的」さえ決まってしまえば、

ブレイクダウンすることは何とかできそうな気がする。

でも、階層の一番上にある「目的」は一体どうやって決まるのか?という疑問は残されたままだ。

この一番上の「目的」を「戦略目標」というが、戦略論といえばここを決めるのが一番難しい。

本書ではここについて触れていないので、少しだけ補足すると、

「戦略目標」は、ビジョン実現のための戦略の大目的と言い換えることができる。

つまり、戦略目標を検討する際は、今度は戦略間の階層関係に目を向けるのではなく、

ビジョンと現状とのギャップに目を向けることが出発点になる。

 

戦略を構成する要素:「論理的」

次に「論理的」とは、戦略を立案し伝える上での“頭の働かせ方”を知ることである。

先に紹介した「戦略の階層性」に則れば、各レベルの戦略は一貫した論理で体系化されている。

しかし現実には、目的を見失ったり、実はそもそも目的が曖昧だったと判明することが意外と多い。

階層的に上から下まで組み上げた戦略の全体像を理解できているか。

本書では、こうした理解の浸透を高めるポイントを3つ挙げている。

①ストーリー性

②網羅性

③論証性

 

納得性の高い戦略とは

①ストーリー性は、簡単に言えば、戦略を語るときの接続詞がきちんとしていることだ。

目的はこれ、その理由はこう、だから取りうる手段はこれら、ただし・・・。

全体が必要なパーツのみで構成され、流れに違和感がないことが、納得性につながる。

②網羅性は、ロジカルシンキングの定番のMECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)で、

もれなくダブりなく、必要な物事がしっかりと組み込まれていることが重要である。

③論証性は、いわゆる“三角ロジック”と呼ばれるもので、イイタイコトに対して、定量的・定性的なファクトで

反論を挟みこむ余地がないよう、しっかりと裏付けられていることが納得性につながる。

これら3つのポイントは、戦略に携わる人なら誰でも、どんな階層の戦略を作るうえでも

基本のキとして誰もが覚えておくべき重要なTipsだと思う。

 



この本についてひとこと