ソーシャル時代のブランドコミュニティ戦略

ソーシャル時代の ブランドコミュニティ戦略

なぜ今改めてコミュニティか?

Facebook、Twitterが普及し、消費者にも企業にも、コミュニティはなじみ深い存在になった。その中で、本書が改めてコミュニティの重要さ、特性と扱い方に立ち返るのはなぜか。ヒントは、コミュニティのそもそもの定義にある。

「生活者の関心や情熱を中心としたネットワーク」(D. アーカー)

コミュニティの主体は、自分の関心や情熱を動機として、社会・経済活動を行う生活者だ。彼らがコミュニティに参加するのは、そこに彼らの関心や情熱に応える価値があるからだ。このことは、成熟市場におかれた日本企業にとって、非常に重要な意味を持っている。いわゆる企業側のインダストリーの視点ではなく、生活者のどのような関心や価値に応える企業なのかという視点(=企業の消費者へのプロミス=“ブランド”)から事業を括り直すことで、今まで自分を縛っていた事業の枠を超えて、再成長の糸口を掴むきっかけになるからだ。

では、具体的にブランドコミュニティを作るには、どのようにアプローチすればいいのだろうか。

 

ブランドコミュニティの基本アプローチを知る

本書で語られているブランドコミュニティ構築の基本アプローチは、4つに集約されると思う。

    1. 生活者の声を聴き、生活者のリアルに迫る傾聴戦略
    2. ブランドメッセージを生活者との共有価値にするための仕掛け
    3. ブランドコミュニティを活性化するための仕掛け
    4. 生活者とのコミュニティのインターナル(社内)コミュニティへの横展開

この4つの基本コンセプトのうち、基礎となるのが「1.傾聴戦略」であることは声を大にして強調したい。あなたの会社は、コミュニティを“作る”ところから始めてしまっていないだろうか。コミュニティのキモが「生活者の関心や情熱」にあるとはじめに紹介したが、まさに言い得て妙で、運営側が徹底的に生活者の生の声を拾い上げ、生活者ドリブンのスタイルに大転換する必要がある。

現実には、「ニーズなんて分かっている」と、いまさら声を拾うことをためらうケースも見られるが、騙されたと思って、生活者の本質的なニーズは何なのかをもう一度聞き取ってほしい。ここが見えると、コミュニティマーケティングの醍醐味である2以降の施策が面白くなってくる。

 

コミュニティの面白さ

コミュニティの難しさは、企業の都合でをコントロールしたり、止めたりできないところにある。一方で、裏返せば、企業の想像を超えた“創発”というコミュニティの面白さにつながっている。売り/買いの立場を超えて、“感謝”を伝える、“感動”を分かち合う、“共創”するという一昔前では理想論に思えた“新たな関係”が、テクノロジーの変化によって現実化している。

本書では、コカ・コーラやユニクロ、P&G、IBM、NIKE、JR九州など、様々な事例が紹介されており、顧客とどんな関係を築いたのかを具体的に学ぶことができる。皆さんなら、コミュニティを通してどういう可能性が見えてくるか、シェアしてほしい。なお、本書は良くも悪くも“戦略”論に留まっているので、コミュニティの重要論点である“コミュニティ設計のリアル”や “マネタイズの方法”については別の文献で補完する必要がある。



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