就活のバカヤロー

就活のバカヤロー (光文社新書)

ハッキリ言うと、就活は気持ちが悪い。

就職活動を取材し終えた著者は、終章でこう感想を述べている。

日本の就職活動とは、新卒一括採用という不思議な制度のもと、それまで会社に興味の

なかったような全国の大学3~4年生が数ヶ月間だけParanoiaになる、興味深い現象である。

就活期になると、大学生が突然わけの分からない自己分析をし、イタい自己PRをし出す。

いまさらSPI(言語能力や計数能力を問うテスト)を勉強したり、

自分のことを「噛めば噛むほど味の出るスルメ」に喩えてみたりしたところで、何の意味があるのか。

それでも、学生たちは乗り遅れてレールを外れたら一環の終わりだ(と思い込んでいる)。

 

それだけではない。

大学(人気のない学校は特に)は、キャリア教育の名のもと、ただひたすら就職率のみを追いかけ、

企業も、飛び込み営業をコンサルティング営業と称し、実態とかけ離れたアピールに夢中。

就職情報会社も、学生には誰でも夢がかなう的な期待をさせておきながら、

企業側には自社サイトに登録する会員の学歴の高さが売り文句。

こんな騙し合い、化かし合いをして学生を獲得したところで、本質的な目的は達せられるのだろうか。

本書は、学生だけでなく、就職活動を取り巻く関係者に取材を重ね、就活の実態を暴いていく。

 

冒頭で述べたような新卒一括採用、つまり新卒時に就職できないと絶対的に不利な状況に

置かれる制度がスタンダードの現状では、学生個々人に主体性を持てと言ったところで、

全員が全員、そうするだけのトレーニングをしているわけではないので、非現実的だ。

気持ち悪い制度に頼らざるを得ない大多数の学生が、自己PRを必死に暗記するのも分からなくない。

しかし、そうした付け焼刃で人を評価する会社から内定を勝ち取った人材など、

気持ち悪い入社試験を突破する能力を評価されただけで

ビジネスパーソンとして価値の高い人と評価されたのでは必ずしもないことに気づくことは必要だ。

このような人材の吹き溜まりのような企業が、早晩どのような道を辿るかを敢えて言う必要はない。

 

学生個々人が厳しいインターン体験等を通してスキルを高めていくのが先か。

企業側が必要な人材像とより明確に向き合い、リクルーティングの仕組みを変えるのが先か。

それはニワトリ・タマゴの関係にあるので、どちらがいいのかは一概に言えないのかもしれない。

しかし、そうした歪んだ就職制度に翻弄されるくらいなら、一番リスクに晒されている個人が

思い切って自活できるよう自分を磨く方向に進むという判断が健全ではないだろうか。

あなたが今、就職活動のために特別な準備が必要な状況だとしたら、それは危険信号だ。



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