仕事は楽しいかね?

仕事は楽しいかね? The Max Strategy: How A Buisnessman Got Stuck At An Airport...

仕事が楽しくなる物語

「仕事は楽しいかね?」 そう聞かれてあなたは何と答えるだろうか。

この物語の主人公「私」は、先の見えない経済情勢の中でリストラの不安と戦いながらも、まじめに働いているのになかなか昇進しないことにいらだちを感じているサラリーマンだ。しかも、昔は起業を志したものの上手くいかず、妻子ある今の身になっては、いまさらもう一度、起業など難しいとも思い悩み、漠然とした八方ふさがり感を感じていた。

そんな「私」が、空港で足止めをくらったある夜に偶然出会った、一見冴えないが実は実業家の老人マックスとの対話の中で、ビジネスを楽しむためのコツを学んでいく。マックスが教えるのは、自己啓発にありがちな精神論ではなく、徹底した実践論であり、「私」と同じシチュエーションにいるあなたにも、明日から動き出すきっかけを与えてくれるところに、この本にしかない価値がある。

 

仕事が楽しくない原因

マックスは、まず「私」が掲げる「目標」と、それを実現するための「生きる姿勢」をリーガルパッドに一緒に洗い出した後、おもむろに大きくバツ印をつけてしまう。そして、「試してみることの失敗はない」という言葉だけをプレゼントする。試すのが大事なのは分かるが、目標から逆算して計画を立てることを捨てるなんて、単なる無謀にすぎないのでは? 読者の疑問はマックスも百も承知だ。

僕が伝えたいのは、理想の仕事についてちゃんとした考えを持っていないなら、物足りなさや取り残されたような思いを抱くだろうってことなんだその反面、たとえこれぞと思う仕事に関して夢をもっているとしても、思い込みは禁物なんだ。アメリカの至るところで、人々は精神分析医のところへ詰めかけ、こうぼやいている。「〈ずっとしたいと思っていた〉仕事をしているのに、なぜか〈やっぱり幸せじゃない〉んです」

目標や夢は、実は仕事の成功の秘訣にはならない。マックスは、夢を途中で変えてしまうことで成功した人たちの様々な事例を挙げ、「ろくでもない秘訣だね、目標や夢なんて」と「私」を挑発してくる。僕たちは、マックスが突きつける反常識的なこの事実にまず向き合う必要がある。

 

仕事を楽しむための秘訣

つぎにマックスは、コカ・コーラ、チョコチップ・クッキー、リーバイスなどの事例を挙げ、これらの世界的な商品が、もともとは偶然できあがったことを紹介する。例えば、コカ・コーラでは、アトランタで薬屋を営んでいたジョン・ペンバートンが、ある日、従業員がシロップ状の頭痛薬を水で割って飲んでいるのを目撃し、おいしそうなその様子を見て自分も味見し、ソーダを加えて売り出したのがはじまりだ。

おいおい、ジョンのつかんだ偶然は羨ましいが、そんな偶然に賭けろと言うのか?マックスは、そんな当然の疑問を感じた「私」をこう諭す。

ハハ!難しい人だなあ、きみは。そう、たしかにまぐれには違いない。だけど、きみはこれまでまぐれを生かせてきたかね?もしかしたら、僕たちはそのコツを勉強して、“まぐれ当たり専門家”になるべきかもしれないよ。

もしあなたが同じ場面に出会ったら、ジョンと同じようにコカ・コーラを発明できただろうか?マックスが「試してみることの失敗はない」と言ったのは、こうした“まぐれ”をチャンスと認識し、「今すぐ」実践に移せる人にしか幸運は訪れないことを踏まえてのことだ。

頭にたたき込んでおいてほしい。何度となく“表”を出すコインの投げ手は、何度となく投げているのだということを。そして、チャンスの数が十分に
あれば、チャンスは君の友人になるのだということを。

 

仕事を楽しむための実践

とはいっても、そんないつ巡ってくるか分からない偶然に人生を賭けられない・・・。マックスは、そんな「私」の心を見透かすかのように、さらに事例を挙げて語りだす。彼が教えてくれたポイントは、「偶然は引き寄せられる」ということと、「偶然にすべてを賭ける必要はない」ということの2つだと思う。

 

偶然は引き寄せられる

偶然を引き寄せるには、勝つためには完璧以上を目指さなければならないと認識することと、完璧以上を常に意識する発想の習慣をつくることの両輪が必要になる。完璧以上とは、意味として矛盾した表現だが、意図としては分かりやすい。マックスは、誰もが少しでも昇進しようと同じゲームで競争している中では、「平均より上の人があまりに多くて、みんな普通になってしまっている」と指摘する。

この競争でだれが勝利を収めるか? だれも。これは全員が負けるゲームなんだ。そこで、新しいゲームをする必要がある。

マックスは「完璧とは、ダメになる過程の第一段階」と言う。新しいゲームをするには、あるべき状態より良くあることを目指さなければならない。ただ良いだけじゃなく、目を見張るようなものであること。狙うべきは「マジック」だ。この発想は、「独占を目指せ」と言ったPaypal創業者ピーター・ティールの教えとも重なる。「マジック」を狙うことは今日からできる。

多くの人々は(中略)自分の仕事をあまりに狭いものに定義しすぎだ。(中略)必要とされる能力は、それこそ何十もあるんだ。だからこそ、しなければならないことを全部、リストに書き出し続けることが重要になる。そして仕事を再定義し続け、リストをどんどん広げていかなければならないんだよ。

 

偶然にすべてを賭ける必要はない

もうひとつ、人生の賭け方はひとつではないことを知るのも重要なことだ。もちろん、マジックを実現するためには、分散投資の“ポートフォリオ”的発想はそぐわない。賭けたからには、そこに全力を注ぐことは大前提だ。

しかし、100を得るために全財産の10を賭けるゲームである必要はない。30を得るために3を賭けるゲームでも、成功の報酬としては十分ではないだろうか。3なら少なくとも3回賭けられる。そう思えれば、チャンスに自然と貪欲になれるはずだ。

成功の宝くじでは、勝つチャンスは何百と手に入るし、そのほとんどは大損するようなものじゃないってことを。



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