思考は現実化する

思考は現実化する―アクション・マニュアル、索引つき Think and Grow Rich

“成功の方程式”はあるか

著者であるナポレオン・ヒルは、この問いに対し、成功者の体験からKFS(Key Factor for Success)を抽出することによって

普遍的で再現可能な“成功の方程式”を結晶化させることに数十年の歳月を投じた。

ビジネスだけに留まらず、数多くの分野における成功者にインタビューを重ね、帰納的に答えを見つけ出そうとしたのである。

結論を言えば、著者の労作である本書は、ひとつの方程式として形になったと言えるのではないかと思う。

実際、現在もナポレオン・ヒル・プログラムというレクチャーが提供されており、それによって、数々の成功者が生まれている。

しかし、どうしても完璧な方程式になり得ないのは、当然ながら成功に向けて走るエンジン(モチベーション)は

本人以外、コントロールできないからである。

自動的に成功に導いてくれる魔法があるのでは?とにわかに喜んだ人には、残念なお知らせである。

 

他人のやる気を出させることはできる?

しかし、本書は、そのエンジンをドライブするための手助けまで体系化している点で優れている。

話は変わるが、僕は先日友人と開催したセミナーで、「納得のいく仕事選び」と題し、キャリアを感覚的に選ぶのをやめて、

個々人の「思い」を軸に、ロジカルにあるべきキャリア像を描き出す試みを提案した。

このプログラムを実施するにあたりずっとモヤモヤしていたのが、参加者の思いや悩みを整理してキャリア像を描き出す

手伝いはできても、そもそも切実な思いや悩みを持っていない人のサポートはしてあげられないということだ。

僕がこの問題に結論として考えた答えは、「他人がそこまで面倒見切れない」というものだった。

しかし、本書はそこで諦めない。ささいなきっかけを大志に育てるコツを提供する形で。

 

あなたをモチベートするコツ

そのコツをいくつか紹介しよう。

「深層自己説得」は、漠然とした形でも構わないので宣言文等の形にすることで、「思考の種を植え」る方法論である。

はじめは宣言するものがなくても、身近なロールモデルを真似たりしながら、かすかな問題意識を書き留めてみる。

もう1つも、はじめは形から入ることで思考を刺激する、「エンスージアムは行動から生まれる」である。

大きな声で話す、早口で話す、強調する、間をとる、声に微笑みを込める、話し方に変化をつけるなどなど。

この効果を実感したのは、僕が海外でアメリカ人コンサルタントを相手に研修を受けた際である。

彼はいわゆる「肉食系」で、食欲旺盛、話し声が大きく行動的で、プレゼンテーションも迫力で相手を納得させてしまう。

それに対し、僕も含め日本人は思慮深いが行動につながらず、肉食動物にチャンスを掻っ攫われるのを見ているばかりであった。

ここで重要なのがスタイルシフト。もし肉食系が有利なら、喜んで肉食系スタイルに行動を変えてみよう。

 

“マスターマインド”のすすめ

エンジンを見つけられたら、後はアクションプログラムに積極的に取り組むのみである。

エンジンさえ失わなければ、後は方法を極端に間違わない限り、成功を手繰り寄せることができるだろう。

しかし、大体にして道のりの途中で、再びエンジンを失くしたり、実は一生モノのエンジンではなかったことに気づいて

何度も立ち止まってしまうものでる。

僕自身、いつかはたと立ち止まってしまう可能性に対して、時々果てしない恐怖を感じることがある。

そこでもう一度覚悟を決めて、エンジン探しから始めることを躊躇しないでいられるか。

僕が本書にひとつ付け加えられるとしたら、誰でもいいから、こうしたターニングポイントのときに

あなたの支えとなる仲間(本書で言う“マスターマインド”)を見つけよう、ということである。



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