The Trusted Advisor

The Trusted Advisor プロフェッショナル・アドバイザー―信頼を勝ちとる方程式

クライアントの信頼を勝ち取るスキル

コンサルタント、弁護士、会計士・・・プロフェッショナル職はクライアントの信頼で成り立つ商売だ。

いかに信頼を勝ち取り、クライアントの期待値を超えるか。

ロジカルシンキングやフレームワーク思考等、プロフェッショナルの代名詞的なスキルは、

プロフェッショナルとして生きていく最低条件でしかなく、

本質的には、目に見えない価値を提供する立場として、クライアントの信頼を勝ち得られる者が

優秀なプロフェッショナルとして評価される。

プロフェッショナルファームにいると、こうしたクライアントに対する立ち振る舞いは、

基本的にプロジェクトで揉まれながら体得しなければならない暗黙知なのだが、

本書は、コンサルタントである著者が、この難しいブラックボックスをきちんと明文化した貴重な1冊だ。

明日から実践に移せるよう、具体的なアクションプランにブレイクダウンされており、

プロフェッショナルを志す人全てに読まれるべき名著である。

(プロフェッショナルマインドと言えば本書と『プロフェッショナル原論』(波頭亮)が双璧。)

 

2つのプロフェッショナル

そもそも、プロフェッショナル(=ここで言う「アドバイザー」)とは、どんな職業なのか。

本書は、プロフェッショナルに求められる要件を明確にするため、まずこの定義からはじめる。

著者は、プロフェッショナルを2つの側面から定義している。

①情報やノウハウの希少性をベースにした価値提供(Service Offering-Based)

②その人自身に内在する無形の価値提供(Trust-Based)

①Service Offering-Basedのプロフェッショナルと言えば、トヨタ生産方式の専門家や、

年金数理計算を行うアクチュアリー等が代表例だろう。

つまり、彼らは高度な専門知識をカスタマイズして提供する一種のベンダーとも言える。

クライアントの悩みに「答え」をダイレクトに与えてくれる存在で、

「先生」にしかできないことをこなすことに、クライアントにとっての価値がある。

一方で、②Trust-Basedのプロフェッショナルは、定められた「答え」がない中で、

クライアントの要求を読み取り、定義し、すり合わせながら、クライアントなりの答えを導かせる。

思考が整理されるというプロセスと、その結果、新しい発見につながることに価値がある。

 

Trust-Basedのプロフェッショナリティが重要

当然ながら、①Service Offering-Basedの価値は、コモディティ化の波に晒されやすい。

Service Offering-Basedのアドバイスが求められるシーンでは、

クライアントがアドバイザーにしてもらいたいことを既に理解していることが多く、

クライアントからすれば、専門知識や必要作業のアウトソースという感覚になりやすい。

この価値で生き残るには、常に希少性の高い情報・ノウハウを仕入れ続ける必要がある。

本質的にプロフェッショナルの存在意義を支えるのは、②Trust-Basedの価値である。

クライアント自身が分からないことも、この人がいれば課題がクリアになる、議論が前に進む。

そうした無形の信頼は、他に代えがたいものである。

The highest level, the pinnacle, is that of a trusted advisor, in which virtually all issues,
personal and professional, are open to discussion and exploration.

The trusted advisor is the person the client turns to when an issue first arises,
often in times of great urgency.

 

Trusted advisorになるための行動規範

では、こうしたTrusted advisorになるためにはどうすればよいか。

著者は、信頼性という捉えがたいケイパビリティを、しっかりブレイクダウンして定義していく。

その中でも重要なキーワードは、「立ち振る舞い」である。

Our advice is simple.
If you already care about a client, then practice the behaviors that exhibit caring.

著者は、信頼獲得のための行動を5つに分解し、それぞれの行動ステージにおいて

どのような行動が信頼につながるのかの特徴リストにまとめ上げている。

  1. Engage (to earn the right to tell and hear truths)
  2. Listen (to earn the right to suggest a problem statement or definition)
  3. Frame (to coalesces issues to move forward)
  4. Envision (to generate clarity of objectives)
  5. Commit (to allow problem-resolution to begin)

 

これらのステージのうち、よくFrame(ロジカルシンキング等)だけつまみ食いされたりするが、

各行動ステージにおけるクライアントの関係のとり方、提供すべきバリューは実は異なっており、

それぞれの立ち振る舞いの違いを全体として理解することが重要だと、著者は指摘している。

まず本書前半部で論じられている5つのステップの違いと役割を頭で整理し、

後半部のTo-Doリストを使って、日々気になった部分を参照しながら、5つのステージの全てを

少しずつ体に染み込ませていきたい。



この本についてひとこと