Webコミュニティでいちばん大切なこと。

Webコミュニティでいちばん大切なこと。 CGMビジネス“成功請負人”たちの考え方

Webコミュニティ運営のリアル

本書は、自らWebコミュニティを立ち上げ、試行錯誤してきた8人によるコミュニティ運営の実践書だ。執筆陣も非常に豪華で、ミルクカフェやnanapiの古川健介(当時ロケットスタート)やみんなの就活日記の伊藤将雄をはじめ、セプテーニ・クロスゲート、ループスコミュニケーション、ゆめみなど、コミュニティの世界では言わずと知れたベテランが顔をそろえている。

新しいWebコミュニティの誕生を願い、コミュニティのつくり方から、運営方法、収益化の手段、最新のビジネスモデルの分析、そして昨今急成長を遂げるモバイルコミュニティまで、それぞれの得意分野についてのノウハウをあますところなく披露したつもりだ。

彼らが「ただの理論ではない。ただの理想論でもない」という通り、これからWebコミュニティを立ち上げるあなたや、Webコミュニティの次なる発展を模索するあなたに、実践的な示唆を授けてくれる手引きになっている。巻末にはニワンゴ/2ちゃんねるのひろゆき氏へのインタビューも掲載されており、こちらも面白い。

目次
chapter 1 スタートから成功までの目標とプロセス

chapter 2 リスクマネジメントの必須項目
chapter 3 ユーザーモチベーションを高める運営術
chapter 4 Webコミュニティにおける収益モデルの考え方
chapter 5 ECと集合知の融合 ~ソーシャルコマースの潮流
chapter 6 モバイルコミュニティの可能性
chapter 7 コミュニティビジネスの未来
付録    ひろゆき氏インタビュー

 

貴重なTips集

本書は8人がそれぞれの章を担当するかたちで構成されている。コミュニティ運営のフェーズごとに章が設けられていて、それぞれに貴重なTipsが見つかる。例えば、コミュニティ立ち上げ期にいるあなたには「スタートから成功までの目標とプロセス」、ユーザーの自由と規律のバランスに悩むあなたには「リスクマネジメントの必須項目」、コミュニティが成熟期にあって、停滞感を感じるあなたには「ユーザーモチベーションを高める運営術」、究極の目標であるマネタイズに挑むあなたには「Webコミュニティにおける収益モデルの考え方」などといった具合。

僕の場合は、3番目の「ユーザーモチベーションを高める運営術」の中で紹介されている管理人としてコミュニティを“かまう”コツや、ユーザーに“刺さる”工夫などが、非常に具体的で、まさに明日からのアクションにつなげられる手触りを感じることができた。例えば、「既存のサイトとの差別化を意識的に行う」や、「初期はユーザーにとって本質でない機能拡張には手を出さない」はWebコミュニティならではのリーンスタート・斬新主義的なアプローチだし、「ユーザーをお客様扱いしすぎない」というのもWebサイトではなくコミュニティだからこその注意点として大事な指摘だ。

また、Webコミュニティ運営において必ず議論になるマネタイズについては、現実的な難しさやマネタイズの工夫についてきちんと整理されている。著者が整理する「CREAM」メソッドは、オーソドックスなアプローチとして頭に置いておいて損はない(Commission:手数料、Rights:著作権、Electronic Commerce:電子商取引、Advertisement:広告、Marketing:マーケティングデータ販売)。

 

Webコミュニティの新たな可能性

本書におけるTipsと同様に重要なメッセージは、Webコミュニティの新たな可能性に関する議論だ。著者は、Webコミュニティの変化のトレンドを形成する、3W1Hのキーワードを紹介している。

● What:文字情報の交換から、動画などを中心としたコミュニケーションへ
● When:オフタイムからオン・オフを問わないコミュニティ参加へ
● Where:自宅やオフィスから場所を問わないコミュニティ参加へ
● How:2Dから3Dを取り入れたコミュニティサービスへ

こうしたユーザーの価値観の変化に目を向けると、新たなサービスや、これまで見えてこなかった企業同士のパートナーシップなど、様々な可能性へと広がりが出てくる。さらには、企業の形態を変えるエンタープライズ2.0、“OpenSocial”によるSNS開発のオープン化、個人情報編纂の新たな形態“Social Timeline”、P2P形態の融資“Social Finance”の可能性など、業界のホットイシューからも、次なるビジネスオポチュニティも見えてくる。



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