ワーク・シフト

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉 The Shift: The Future of Work Is Already Here

「群衆の知恵」で描き出す未来

ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットンは、共同研究「働き方の未来コンソーシアム」で、世界各国の個人、企業とのセッションを通じて、2025年における働き方の未来像を紡ぎ出した。本書にまとめられた未来像は、遠く離れたSFでなく、科学への恐怖を押し付ける物語でもない。社会の変化を見つめて描き出された未来の人々の働き方は、どこまでもリアルに描かれており、僕らにとって暗い側面も明るい側面も等しく取り扱われている。

結局、社会の変化それ自体は、あくまで僕らに対してニュートラルでしかないということだろう。“働き方の未来図”が指し示すところは、社会の変化を味方につけて、変化の波に乗れるか、つまり、僕らが明るい未来を“主体的に”選び取るか否かにかかっているという結論だ。

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Desk designed by Luis Prado from the Noun Project

5つの社会的要因

未来の働き方を考える上で、著者は5つの社会的変化を取り上げている。

1. テクノロジーの変化
2. グローバル化の進展

3. 人口構成の変化と長寿化
4. 社会の変化

5. エネルギー・環境問題の深刻化

どれも、現実社会において既に顕在化している変化であり、目新しさは感じないかもしれない。しかし、これらが更に進化・深化していった時、社会がどのように変わるかイメージできるだろうか。バーチャル会議がより便利になり、環境問題への配慮もあって誰もが自宅で、24時間働くようになる。ひとつの仕事にグローバルで人材募集が行われ、世界中の人と専門知識を競い合うようになる。これはあくまでほんの一部だ。本書では、ジェリー、アンドレ、ローサン、ジョンとスーザンなど、様々な立場の人々の働き方を、あたかも未来を見てきたかのように描いている。

 

3つの生き方のシフト

彼らの働き方を見ると、時間が細切れ化し、24時間働かされ、世界の人材と競争し、人と人とのリアルなコミュニケーションが希薄化するといった、どこか暗い未来のようにも思える。確かに、5つの社会の変化に振り回される人にとっては、著者が指摘するように、経済的、あるいは精神的に「孤独と貧困」を感じる生き方を強いられるのが、未来の実態だろう。

一方で、これまでも社会の変化(例えば蒸気機関の発明等)を味方につけた人がそうだったように、次なる変化にも対応できる人にとっては、新たな豊かさを享受できる可能性がある。著者は、そのカギとして3つの生き方のシフトを実践することを提言している。

1. ゼネラリスト的な技能 ⇒ 連続スペシャリスト的な知識
2. 個人主義と競争原理 ⇒ コラボレーションと人的ネットワーク

3. 消費による豊かさの追求 ⇒ 質の高い経験と人生のバランス

いずれも“言うは易し行うは難し”で、これまでの考え方を180度転換するチャレンジが必要となる。本書は、その点も重々承知していて、3つのシフトについてそれぞれ章立てて、具体的に明日からあなたがどのようなアクションを取るべきか、丁寧に説いてくれている。



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