ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく

ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく

堀江貴文はなぜ働くのか

2006年に逮捕されたライブドア元CEOの堀江貴文。当時の「稼ぐが勝ち」のフレーズでPR的に随分と誤解されてきた部分を差し引いたとき、ベンチャー経営者として、彼はなぜ働き、どう働いてきたのだろうか。2013年11月の刑期満了とともに刊行された本書『ゼロ』には、働く彼がありのままに綴られている。

ピースオブケイクCEOで「もしドラ」編集者の加藤貞顕をはじめとするエース級メンバーによる徹底的なマーケティングで売れたともされる本書だが、内容はあくまでシリアスだ。そこで語られる「働くとは何か」という思想と実践論は、ベンチャー社長の話を聞くときにいつも感じる仕事のワクワク感とサバイバルスピリッツに溢れ、僕のモチベーションを強く刺激した。

ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく

あなたはなぜ働くのか

堀江貴文という人はなぜ24時間365日働き続けるのか。そんなに儲けたいのか。ライブドア時代の彼に対し、世の中は常に「金の亡者」的な目を向け続けてきた。しかし、起業家やプロフェッショナルという人種に会ったことのある人なら、彼らの多くが、そんなところにモチベーションを求めていないとすぐに感じたはずだ。つい先日会った起業家も、今の事業が高値で売れようとしているにも関わらず、100も200もある次にやりたい夢に向かって、早く取り掛かかりたいといったようすだった。

彼らを動かしているのもは何なのか。『ゼロ』の冒頭で、彼はこう強調する。

どこで働き、誰と働き、どんな仕事を、どう働くのか。そもそも人は、なぜ働くのか。
このままの働き方を続けていてもいいのか。これは僕の個人的な問題意識であり、
同時にいまの日本全体に投げかけられた問いでもある。

 

働くことの価値

働くということを、ここまで深刻に捉えたことはあろうだろうか。働くことが人生の大きなポーションを占める以上、働き方は人生に他ならない。ならば、働くことで「自分の時間」を生きるのか、それとも「他人の時間」を生かされるのか。

これは、大企業に働く一部署の平社員にも例外なく突きつけられている問いだ。お金を「もらう」ために時間を差し出す人は、残業代を稼ぐために更に時間を差し出したり、消費で楽しみを得ようとすることで、かえってお金に縛られているのではないだろうか。

お金を「稼ぐ」というのは、儲けるためではなく、お金から自由になるために重要なのである。起業は、そのためのひとつの大切な働き方だ。

僕は20代の早い段階で、お金から自由になることができた。
それはたくさんのお金を得たからではない。仕事に対する意識が変わり、
働き方が変わったから、お金から自由になれたのだ。

 

ゼロ トゥ ワンの仕事論

2014年、ペイパルマフィアのひとりであるピーター・ティールが書いた『Zero to One』が大ヒットした。この本で彼は、ビジネスをゼロからつくり出すには、1を100にするのとは根本的に発想が異なること。そして、小さくても独占をつくれる「隠れた真実」を見つける戦略と実践が必要であることを説いた。

それに比べると、『ゼロ』はビジネスをゼロからつくり出す人の生き方・働き方に注目する。日本人の20人に1人が経営者という現実にも関わらず、ほとんどの人が「自分に起業なんて無理」と足を止めてしまう中で、起業家はなぜ突き進むことができるのか。赤裸々に語られる堀江貴文という人の生い立ちから起業、そして今までを追いかけていく中で、一歩を踏み出せる人とそうでない人の違いが、明確になっていく。

「できることをやる」ではなく「やってできるようになる」

仕事でも人生でも、もちろん異性関係でも、キョドってしまうのは、性格の問題ではない。ましてや、ルックスなど関係ないし、学歴や収入、社会的な地位とも関係ない。これはひとえに「経験」の問題なのである。

経験曲線を駆け上がるための「ノリのよさ」

小さな成功体験の前には、小さなチャレンジがある。そして小さなチャレンジとは、「ノリのよさ」から生まれる。ノリの悪い人は、人生の波にも乗れない。もちろん血肉となるような経験も得られず、自信にもつながっていかない。シンプルに考えればいい。すべては「ノリのよさ」からはじまるのだ。

「悩む」を意識してやめられるか

「悩む」とは、物事を複雑にしていく行為だ。(中略)一方の「考える」とは、物事をシンプルにしていく行為である。

「仕事をつくる」は今からできる

やりがいとは、業種や職種によって規定されるものではない。そして「仕事をつくる」とは、なにも新規事業を立ち上げることだけを指すのではない。能動的に取り組むプロセス自体が「仕事をつくる」ことなのだ。すべては仕事に対する取り組み方の問題であり、やりがいをつくるのも自分なら、やりがいを見失うのも自分だ。どんな仕事も楽しくできるのである。



この本についてひとこと